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イノベーティブな情報発信が生まれる場 報道を社会課題の解決につなげるネットワークに D-JEDI(Soilフェロー)

2023.01.25

<Soilからの支援を受けたフォローの声を紹介いたします。初回はSoil1000の第一号の支援先となった一般社団法人デジタルジャーナリスト育成機構(D-JEDI)です>

一般社団法人デジタル・ジャーナリスト育成機構(D-JEDI、代表:浜田敬子)は、デジタル時代の取材や情報発信に必要な知見や技術を伝え、テクノロジーやデータを活用した報道・発信事例を広げることを目指す団体です。2022年6月に設立イベントを開き、現在は月1回のセミナーを中心に、デジタル報道に関心のある人達のネットワーク/コミュニティを形成しています。

D-JEDIのウェブサイト

D-JEDIの5人の理事は、いずれも新聞やNHKなどの伝統的な報道機関で経験を積み、現在はインターネットメディアやプラットフォームなどを中心に活動しています。私たちは、明確な問題意識を最初から共有していました。伝統的なメディアはインターネットやデジタル時代のメディアに関する知見や関心が乏しく、新興メディアには報道倫理や調査報道など、連綿と培われてきた知見を学ぶ機会がないことです。

報道は今も新卒一括採用・年功序列・終身雇用が一般的で、人材の流動性が低い業界の一つです。収益の悪化や成長の鈍化が中途採用や人材育成の壁にもなっています。

学ぶ機会や人材の交流が乏しいことは、日本の報道やデジタルメディアの足かせとなっています。海外に目を向けると、この10年で情報発信のあり方は急速に進化しました。膨大なデータの収集・分析に基づいた「データ・ジャーナリズム」や、複数の組織がそれぞれの強みを活かして協力する「コラボレーション報道」が増え、動画や音声やアニメーションや3Dなど、新しい表現技法が様々な場面で活用されています。日本ではごく一部にとどまり、せっかくのテクノロジーの発展を活かせていません。

D-JEDIはそういった事例が日本でも広がるように、学びと交流の場を提供しています。現在は、月1回のウェビナーを軸としており、「YouTubeと政治報道」「個人と組織のリスキリング」「広告と課金によるマネタイズ」などをテーマに専門家を招いて議論している他、Twitter買収問題に関するオンライン討論などタイムリーな話題も不定期に取り上げています。

イギリス・ロンドンやウクライナ・キーウのゲストとも繋いで実施した9月の設立イベントは新型コロナで席数を限ったリアル参加者は満員に。YouTube中継も含めると200人を超えました。その後の定期セミナーにも100人を超える申し込みがあり、会員数も順調に増えています。

会員や参加者は、伝統・新興メディアに所属する人たちだけではありません。個人で情報発信する人たちや、PRやマーケティング分野の方々など、組織も業界も超えた個人のネットワーク・コミュニティとして成長しています。まさに、私たちが設立時に目指した姿です。

D-JEDIは非営利型の一般社団法人として、イベント参加費だけでなく、これらのセミナーのアーカイブや、デジタル報道やオープンソース活用などに関する資料を有料登録した会員に提供することで活動資金としています。しかし、より多くの人に学びの場を広げるという目的を達成するために、高い料金設定ができません。

有料会員数が一定のレベルを超えるまで、法人設立、ウェブサイトやソーシャルアカウントの作成・運営、有料会員システムの構築と維持やセミナー実施にかかる経費をどう捻出するかが、立ち上げ時の最大の課題となっていました。

設立に向けた議論を重ねていた頃にたまたま知り合ったのが、Soil立ち上げを準備していた久田哲史さんです。我々のミッションと課題を知った久田さんに、Soilの方向性と一致していると評価していただき、第一号の支援先として1000万円の寄付に繋がりました。これは私たちの目指す2年以内の経済的自立と独自のコラボ報道プロジェクトを始めるうえで、非常に大きな支えとなっています。

今後は4月に新人・若手向け、9月に中堅向けに複数テーマをパッケージ化した集中講座、その他にも動画担当者向けの実践講座や報道の実務家を集めたネットワークでコラボ報道の実例づくりなどに取り組む予定です。

世界ではここ数年、テクノロジーを活用したコラボ報道が社会課題の解決に大きなインパクトを与えています。例えば、アラスカの性犯罪の実態を地元新聞社とデータ分析が得意なNPOメディアの協力で解明し、その対策につなげたり、全米のメディアで選挙データを共有し、大規模なコラボ報道をしたりという事例です。

よりよい社会を目指し、課題解決に繋がる報道を、テクノロジーとコラボレーションで実現していく。Soilの理念とも一致する、そういう実例が生まれる場としてD-JEDIをさらに発展させていきたいと思っています。

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